パリオリンピック、トライアスロンでセーヌ川を泳ぐことが、色々と物議を醸し出していますね。
5日の報道ではついに選手の一人が大腸菌感染症になって入院したというものもありました。
問題になっているのは、セーヌ川の汚染です。また、流れが早すぎて競技には向いてないなどといった別の問題も出てきているようです。
個人的には、なぜ約14億ユーロ(約2350億円)もの大金をかけて水質を浄化し、オリンピックにおいてどうしてもセーヌ川で泳ぐ必要があるのか、さっぱりわかりません。
多分、パリの象徴とも言える川だからとかいうしょうもないプライドとか、利権とか、お役所仕事とか、いろんな思惑が交錯、一致してそうなったのでしょう。
しかし日本人も、「おフランス人、安物のプライドが高いなあ・・・」とか言える義理ではありません。
東京オリンピックの際、トライアスロンを都心で開催しようと計画。スイムのテスト大会でトイレのニオイがすると悪評の出たお台場海浜公園において、なんとか競技を成立させようと、海底のヘドロを覆う覆砂工事をし、プロペラやダクトを使った海水の循環を行い、豪雨時に下水管から溢れ出て海に流れ込む汚水や汚物を、水中スクリーンを張って競技水域まで来ないようにするといった「対症療法的対策」を施すことで、なんとか競技可能数値内に収めて、お台場で無理やり!?スイム競技の開催にこぎつけたという過去があります。
ただ、費用は抑えられたものの、東京の対症療法より、パリの方が、大金をかけて大規模施設を建設することで、今後のセーヌ川のより一層の水質改善の可能性を残している分、マシだという考え方もできるかもしれません。
まあですが、どちらも結局のところ、濁って汚く、泳いでも気持ち良くない環境の中で選手を泳がせるという、全く選手にとっては迷惑極まりない、選手ファーストでないおかしな会場選択であったということは間違いないでしょう。特にパリでは入院とか、それによる棄権などという実害も出していますし、全くひどいものだと思います。
サーフィンはタヒチでやるんだから、トライアスロンも、コルシカ島とか、レユニオンとか、サーフィンと同じくタヒチとか、他の自然豊かできれいなフランス領でやりゃあいいのにと思うんですが、どうしてもパリでトライアスロンをさせたい人達がいたんでしょうなあ・・・。
で、川の汚染の話しなんですが、汚い川と言うと、日本ではまっさきに、大阪の中心地、ミナミにある「道頓堀川」が上がってくるかと思います。
まあ、極一部のアホな阪神ファンが、優勝すると、危険でもあり、健康にも被害があるからダメだとさんざ言われているのに、道頓堀川に飛び込むからというのが、多分その理由なんですが、そんな道頓堀川、バース、バースと叫ばれながら胴上げされ、ケンタッキーのカーネルサンダース人形が沈んでいった1985年と比べると、現在は随分キレイになっているようです。
環境省の水浴場水質判定基準によると、水浴が可能といえるふん便性大腸菌群数の最低基準値は1,000個/100ml以下となっています。
道頓堀川は 37~1000個で、平均は240個。近年は水が比較的きれいな淀川からの水を水門操作で取り込むことで、生物化学的酸素要求量で言えば、鮎が生息できるレベルまで水質は改善しているようなのですが、ふん便性大腸菌群数で言えば、未だ多い数値ではギリギリのレベル(※)と言えます。(※水質区分はAAからCまで4段階あり、水浴に適していると言われる水質Aで大腸菌量は100個/100ml 以下、水質AAは大腸菌不検出となっています。道頓堀川の平均値であれば、水浴可の水質B区分となります)
ちなみに、東京の隅田川の数値は73~11000個。実は道頓堀川よりはるかに汚れています。菌量に幅があるのは、東京大阪共に、雨水と汚水が同じ下水管に流れ込む合流式であるため、強い雨や豪雨の時は下水処理能力が追いつかないので、一部下水を処理することなくそのまま川に放流するからというのが理由です。都会の下水方式はこの合流式であることが多いようです。
パリの下水も同じ合流式であるため、セーヌ川の水質が悪化しているのですが、今回のオリンピック開催でははそれを改善するために、豪雨時に巨大なタンクに下水をため、そのあと下水処理をしてきれいな水をセーヌに流すという新たな施設を建設したため、巨額な費用が必要となったわけです。
今年2月に大腸菌量20000個を検出されたセーヌ川は、大会開催前の7月の調査では、水質改善施設の効果もあったようで、概ね1000個前後で推移。しかし、雨後の調査では3000個になることもあり、数値的にはギリギリもしくはアウト。なお、水質改善対策後でも、道頓堀川より3~4倍ほど汚れていると言えます。さすが100年以上前から遊泳禁止になっていただけのことはあります。
このかなりグレーな汚染度の数値が、トライアスロンという、場合によっては水泳中にライバルをガンガン蹴ることもあると言われ、激しい泳ぎ故に水を飲んだりする可能性も高いであろう状況に、全く適した環境ではないと、大会直前であっても批判されていた理由です。
なお、更に調べてみると、国際トライアスロン連合においての、競技水質の基準は、水浴場基準を更に厳しくした500個/100ml 以下で可とされていました。(海水の場合は250個)この基準を使った場合、東京・パリともに水質基準はアウトなため、オリンピックの場合は特別!?に、水浴場基準値と同じである、国際水泳連盟の基準値でいいことにしたようです。多分この辺のおかしな基準値の変更なども、選手においては疑問に思われていたのではないかと思います。
選手ファーストなどという思想はどこにもない、全く自分勝手なひどいやり口。ほんと選手はたまったもんじゃないですね。いかりや長介ばりにダメだコリャとなって、ガンガン文句をいう選手が出てくるのも分かる気がしますし、一方で、ほんとは文句言いたいけれど、オリンピックという大舞台だから口をつぐんでおこうとする選手がいるのも一応理解はできます。
さて、そんな川の汚染ネタと言えば、インドの聖なる川「ガンジス川」も、世界の汚れた川代表として、良く話題に出てくる川です。
自分も30年ほど前、インド旅行の際、超メジャー聖地バラナシに行った際、ノリでガンガー(ガンジス川)で泳いだことがありますが、川底にはぬるっとしたヘドロがあり、上層の水も濁りまくり、ゴミが浮きまくっていたりと酷いものでした。
当時の日本人バックパッカーの噂話では、「顔をつけて結膜炎になった」とか、「ガンガーの水を飲んでお腹を壊した」といった情報もあったのですが、自分は顔をつけてがんがんクロールなどもしましたが、幸いにも特に体調を壊すことはありませんでした。
まあ多分、その時既にインド滞在が3週間ほどになっており、様々な原因によると思われる腹下しや、軽い体調不良などは十分以上に経験して復活していたため、そこそこ免疫がついて大丈夫だったのではないかと思います。
その経験から、自分の中ではガンガーは全く聖なる川ではなく、ただのすんげえ汚いヤバい川という認識だったわけですが、インドの人とガンガーについて話した時、彼はガンガーは聖なる川だから、汚いことなど全く無い、また、ゴミを捨てても聖なるパワーで浄化してくれると真顔で答えており、それは彼だけの特異な感覚ではなく、どうやらヒンドゥー教を信じるインド人の共通認識でもあったようでしたので、「だから聖なる川なのにバンバンゴミ捨てるのかあ、しかし、宗教の信じるパワーは怖いなあ」と思ったものでした。
その後、数十年後に日本であったインドの人とガンガーについて話した時も、川の水を汲んでコップに入れておいても、いつまでも腐らないと真顔で言っていたので、「いや、汲んだ時すでに濁ったり変なもん浮かんでるのに腐らないわけ無いやん」と思ったので、そう言ってみたりもしたのですが、「そんな時でも水は時間が経つにつれどんどん浄化していく。お前は聖なる川の凄いパワーをわかっていない」と一蹴されたことがあり、「やっぱ宗教怖いよ。それにも増して、科学教育や衛生教育の必要性、超重要だよ」と思いました。
そんなガンジス川、近年(2017年)の調査では、大腸菌量は11500個。近年のインドでは、急速に下水処理施設や公衆トイレ、ゴミ処理場などの整備が進んでいるようですので、現在の水質は更に改善していると思われますが、この当時の数値では、雨後の隅田川より汚かったようです。なお、2011年の調査では、22000個だったという資料もありましたので、酷い汚染から、施設の整備や意識改革により、少しずつ水質改善は進んでいるようです。多分、自分が泳いだときはもっともっと汚かったんでしょう。しかし、良く無事だったな、俺・・・。
ということで、延々と汚い川ネタをお送りしてきましたが、これらの川を汚しているのもまた、人間。温暖化なども合わせて解決するには残念ながら、やはり人間自身が大幅に減るという条件が必須なのかもしれませんね。
こちらはのびのび寝る翁
位置を多少変えても
変わらずのびのび
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